正しい食品表示ラベルの作り方や食品表示法に関連する書籍の販売。消費者庁の食品表示一元化の最新情報などをご提供。

原材料名

食品表示ラベル(一括表示)の原材料名とは

  1. 原材料名の表示の方法
  2. 複合原材料の表示の方法
  3. 原材料名と添加物との区分にご注意

原材料名の表示の方法

名称の次にその製品を構成する原材料名を表示します。その表示方法はおおまかに次のような流れになります。

使用する原材料すべてを書き出す
原材料の仕様など情報を収集します。
配合量の多い順に並べ替える
製品を作るときに必要な原材料の重量順に並べ替えます。
添加物と区別する
食品添加物として使用したものは、添加物欄で表示します。
複合原材料の表示方法を精査する
一般的な名称かどうか、使用されている原材料の表示が必要かどうか等
主要原料(原材料名表示で1位になるもの)の原産地(製造地)を調べる
2017年9月の改正で、全ての加工食品(輸入品を除く)に原料原産地表示が必要になりました詳しくはこちら

表示の作成
添加物、アレルゲンの表示については別途解説します

例えばシュークリームの原材料名を表示するとして考えてみましょう。(配合は例示です)
正しい食品表示の作り方|原材料名|画像1
まず、使用する原材料のすべてを書き出し、その情報を集めます。
次に、この原材料を重量順に並べ替えます。この場合ですと、カスタードクリーム、ホイップエース、卵、小麦粉、水、バター、着色料(カロテン)、塩 の順になります。
これはまだ順番に並べただけであって、正しい表示ではありません。
次に、食品原材料と添加物は区別して表示しますので、添加物として使用しているものは一度順番から外します。(添加物については添加物の項で詳しく説明します)
また、水は表示の必要がありませんので、表示しません。
正しい食品表示の作り方|原材料名|画像2
ここまでは、原材料名を表示する順番について解説しました。しかしまだ終わりではありません。


複合原材料の表示の方法

複合原材料とは、製品の原材料に使用するために仕入れた、他者が製造した加工食品と考えていただけると分かりやすいです。
例えば、この場合ですとカスタードクリームやホイップエースがそれに当たり、一般の食品でもケチャップや缶詰のフルーツなど、単一の原材料でなく複数の原材料からなる加工食品のことを指します。
正しい食品表示の作り方|原材料名|画像3
ここで、並べ替えたシュークリームの原材料名をあらためて見ると、「カスタードクリーム、ホイップエース」とありますが、これでは何だかよく分からない表示です。

そもそもカスタードクリームって何から出来ているの?と思う方もいらっしゃいます。また、ホイップエースなんて見たことも聞いたことも無いと思われる方が大半だと思います。
この様に、ご自身や業界では当たり前の呼び名や品名は、必ずしも消費者の方に理解されるとは限らないと考える必要があります。
ではどの様に表示するのか、食品表示において、複合原材料はその一般的な名称と原材料を表示することになっており、その表示をするために、一番初めにすべての原材料の情報収集が必要になってくるのです。

手元に集めておいた仕入れ商品(複合原材料)の情報を見てみると、
正しい食品表示の作り方|原材料名|画像4
とありました。
複合原材料その名称の次に()かっこを付けて表示することとなっています。

まずはカスタードクリームについて。
カスタードクリーム(牛乳、卵、砂糖、小麦粉、バニラ)と表示します。
添加物は次の添加物の欄で詳しく説明しますが、この()カッコ内では表示しません。
また、複合原材料に占める重量が3位以下であって5%未満の原材料はその他と表示することもできます。
バニラはここでは天然のバニラビーンズを使用しています。もしバニラエッセンスやバニラオイルであれば食品添加物の香料として表示する必要があります。

次にホイップエースについて。
ホイップエースは品名であって、それだけでは何を表すのかわかりません。
名称は「乳等を主要原料とする食品」とありますので、品名ではなく一般的な名称で表示する必要がありますので、こちらを表示します。

そして、複合原材料の名称からその原材料が明らかである場合は、当該複合原材料の原材料の表示を省略することができるので、ホイップエースの原材料名をカスタードクリームと違い、省略することができます。

似たような事例をもう一つ。私が広島出身ということで広島といえば「お好み焼き」ですね。広島県民はお好みソースのことを「おたふくソース」「カープソース」などと、そのメーカー名で呼ぶことが一般的です。
しかし、食品表示となると地域での一般名では、全国の消費者にはわからないことがあります。したがって、食品表示での原材料名は「ソース」や「お好みソース」と表示することになります。

 

次に表示の方法ですが、複合原材料の名称が「乳等を主要原料とする食品」や、「鶏の唐揚げ」などのように、その名称から使用している原材料が容易に推測できる場合は、その複合原材料の原材料名を表示しなくても良いとされています。

 

ということで、正しい食品表示の原材料欄は次のようになります。

正しい食品表示の作り方|原材料名|画像5

この様にして、原材料名の表示ができました。
原材料名の表示は配合や使用材料が変わるたびに見直さなければならないものです。使用している原材料や仕入れ品などを定期的にチェックして、正しい食品表示をするようにしてください。


原材料名と添加物の区分にご注意

道の駅や小さな商店で製造販売されている商品のなかで、よく見受けられる間違いが原材料名と添加物を混ぜて表示していることです。
例えば、このシュークリームの例で言うと、カスタードクリーム、ホイップエース、卵、小麦粉、水、バター、着色料(カロテン)、塩のように、食品原材料と添加物が区別されていないことを指します。
せっかく順番通りに並べても、この区分がなされていないと正しい表示とは言えませんので、十分ご注意ください。

新たな原料原産地表示について

ここではまだ表示としての作り方が解説できていませんが、全ての加工食品(輸入品を除く)の主要原材料の原料原産地表示が義務化されました。
この例であれば「カスタードクリーム」がその主要原料にあたり、国内で製造されたものであれば、

原材料名:カスタードクリーム(牛乳、卵、砂糖、小麦粉、バニラ)(国内製造)、乳等を主要原料とする食品、・・・

となります。

もし、外国で製造されたものであれば、(フランス製造)と国名で表示することが原則です。
一方、主要原料が生鮮食品であれば卵(国産)のように書きます。
詳細はまた追って解説します。

筆者 田添正治
2017/05/25:加筆
2017/07/10:加筆
2017/09/21:加筆

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タイトル
正しい食品表示ラベルの作り方|原材料名
記事の内容
正しい食品表示ラベルの作り方。「原材料名」の表示について解説します。
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記事の提供元
chefplus.net
 

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プロフィール

株式会社まわた 取締役 田添正治 洋菓子製造1級技能士として15年間洋菓子店を営み、100以上の食品表示を作成してきた経験と持ち前の探究心から、消費者庁が公示する食品表示基準等から食品表示を読み解く。「徹底的に基本を大切にし、まっすぐ生き抜く」という理念のもと、分かりやすく基本を丁寧に解説することに定評がある。 食品表示に悩む人からは「調べるほどに分からなくなる表示がやっと理解できた」「実務を含んでいたおかげで間違いに気がついた」と評価される。 6次産業化で人材育成が必要な地域と共にプログラムを組み、全10回延べ150人を超える受講者へむけ特別講習会を実施。さらに人々の意見をまとめ上げ次のステップ新製品開発へと進めるなどその人材育成手腕を発揮。「わくわくする講習会」「なんとしてでもこの製品を完成させたい!」と参加者の声がある。

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