かねてより検討会が開かれている原料原産地表示制度の義務化について、本日10月5日に開催される検討会で案がまとめられました。
《義務表示の対象となる加工食品》
○ 国内で製造し、又は加工した全ての加工食品を義務表示の対象とする。
なお、現行の食品表示基準に則して、以下の場合、原料原産地表示は要しないこととする。
・食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合
・不特定又は多数の者に対して譲渡(販売を除く)する場合
・容器包装に入れずに販売する場合
また、容器包装の表示可能面積がおおむね30㎠以下の加工食品にあっては、現行のとおり原料原産地表示を省略することができることとする。
《義務表示の対象となる原材料(対象原材料)》
○ 事業者の実行可能性を勘案し、製品に占める重量割合が上位1位の原材料を義務表示の対象とする。
○ 冠表示については、ガイドラインにより表示を普及する。
※検討会資料より抜粋
例えば、
名称:ロースハム
原材料名:豚ロース肉(アメリカ)、還元水あめ、大豆たん白、食塩、
乳たん白、卵たん白、豚コラーゲン、砂糖 ※検討会資料より
このようにしようというものです。
まだ案の検討段階ではありますが、実行に近づいていることは間違いありません。
各団体と消費者からの要望が多かったことではありますが、食品表示を作る側の食品製造業の視点から見ると、非常に重い義務化になります。
・消費者団体の主な要望 「現行の義務対象品目の選定要件を廃止し、原則全ての加工食品の原料原産地表示を義務化」
・JA等の主に1次生産団体の主な要望 「原産地表示の拡充・強化」
・全国知事会 「農産物の安全性と信頼性の確保など、食の安全安心に関する国民ニーズに対応するため、国において加工食品の原料原産地表示対象品目の拡大及び輸入食品の検疫体制の強化を行うこと」
これに対し、食品事業者団体からは
・日本パン工業会・全日本パン協同組合連合会 「製パン企業において、責任を持って小麦粉の原料原産地表示をすることはできない」
などと、反対意見が続出しています。
※検討会資料より抜粋
それもそのはず、ただでさえ表示には主に義務表示がありこの度の食品表示法施行によりアレルゲン表示の厳格化や栄養成分表示義務化などが増しました。
そこに原料原産地表示を義務化されると様々な面で手間もコストも上昇します。
日本のおよそ9割は中小零細事業者です。はたしてどこに落とし所を持っていくのか、注意深く見守る必要があります。
参考URL
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/other/kakousyokuhin_kentoukai.html#m08