機能性表示食品とは何なのか
最近よく耳にする「機能性表示」ですが、それが何なのか「トクホ」とは何が違うのか詳しくは知らない方も多いのではないでしょうか。
それもそのはず、機能性表示食品は誕生してまだ2年とちょっとしか経っていません。
新しくなった食品表示法の目玉企画として誕生した新表示制度です。
機能性表示食品を一言で言うと、
「事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品」(※消費者庁の資料より)
となりますが、これではよく分かりません。
ですので、ここでは一つずつ分解しながら少し詳しく解説していきます。
事業者の責任とは
まず、機能性表示食品の大きな特徴といえるのがこの「事業者の責任において」とされる部分です。
これは、国の個別審査を受けたものではないということを表します
機能性表示食品は、事業者がその製品を販売開始する前(60日前)に、一定の書式と必要書類を消費者庁に提出します。
すると、消費者庁はデータベースにその情報を公開します。
広く一般に公開することで、公開審査のような役割を果たすのと、一般消費者は販売開始前に安全性や機能性に関する情報をみることができるようになります。
そうして「機能性表示」と名乗って販売することができるようになります。
一方で特定保健用食品(いわゆるトクホ)は国(消費者庁)によって個別に審査・承認を受けたものでないと、「特定保健用食品」を名乗ることができません。
ここが大きな違いで、事業者がその機能性の情報に関して安全性や機能性に対して全責任を負うことになります。
もちろん特定保健用食品であっても、食の安全という意味では、安全性に対しては事業者が責任を負います。
科学的根拠とは
では、機能性表示に必要な科学的根拠とはどのようなものなのか。
ここが新しく機能性表示の食品を販売しようとする食品関連事業者のみなさんが、必ずと言っていいほどつまずくところです。
例えば大手の食品メーカーさんですと、関与成分に対して日々研究を重ね、論文を発表し、特許の取得をして。と専門の人が行なっていますので、このハードルは若干下がります。
科学的根拠として必要な条件を簡単にあげると、
- 食経験や研究によって安全性が担保されているか
- 表示しようとする機能性が客観的事実に基づいて確認されているか
となります。このほかにも条件はありますが、基本的には安全性と機能性の担保がなされているかどうかです。
安全性は食の安全上で必須の項目になります。
新しい食品や機能関与成分であれば、その安全性が十分確認できていることが必ず必要になります。
一方でみかんやトマトのように、これまで食べ続けられていてその安全性が担保されている食品であれば、それを証明すれば良いということになります。
トマトのリコピンを機能関与成分として表示するとしたら、人がトマトを食べてきた歴史などを証明し、その安全性を担保するということになります。
機能性の証明も必要です。
機能性の証明に利用されるものの代表が「論文」です。
これは、新しく自分たちが研究して論文を記述しなければならないというものではなく、公表されている論文を使ってその機能性を証明しても良いことになっています。
例えば、農研機構の機能性を持つ農林水産物・食品開発プロジェクトの中にある研究結果がそれにあたります。
このように、機能性表示をしようとする事業者が、食品の安全性と機能性を「事業者の責任において」「科学的根拠に基づいて」公表・表示する必要があります。
機能性とは
しかし、機能性と言われてもピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。
薬のように、「頭痛に効く!」などと効能効果を表示すると薬事法違反になりますし、「○○で100%やせる!」と表示すると根拠もないのに表示したとして景品表示法違反になることもあります。
従って、機能性を表示するときには、
「○○に作用することが確認されています」や「○○であることが報告されています」と表示されることが多いようです。
例えば、ブルーベリーに含まれている「アントシアニン」は研究の結果、「目の疲労感を和らげる」ことが報告されていますよ。
というニュアンスで表示されているのが機能性表示食品となります。
また、機能性表示の対象とする人は
病気や妊産婦、未成年などは対象としてはいけません。
病気を治すためでも、胎児に影響を与えるものでも、成長を促進させるものではないことを、明確に表示しなければなりません。
トクホ(特定保健用食品)、栄養機能食品との違い
似たような食品に特定保健用食品と栄養機能食品があります。
単純にいうと、
- 特定保健用食品は消費者庁の個別審査を受けて表示するもの
- 栄養機能食品は含有されている成分が一定の条件を満たせば表示できるもの
です。
特定保健用食品(いわゆるトクホ)は、機能性表示食品のように安全性や機能性について非常に厳しい審査をパスしなければ、表示することはできません。
ですので、必然的に大手メーカーが多くなります。
一方で栄養機能食品は、オレンジジュースのビタミンCなどのように、一定の値を含んでいれば消費者庁が定めた定型文でその栄養機能性を表示することができます。
これには、特別な申請や審査は必要ありません。一定の値を含んでいることが証明できればそれで表示することができます。
したがって機能性を表示する食品の、ハードルの高さを高い順に整理すると、
- 特定保健用食品
- 個別審査あり。費用が多額に必要
- 機能性表示食品
- 個別審査なし。費用はまちまち
- 栄養機能食品
- 個別審査なし。条件を満たせば表示可能。費用は少なくてすむ
このようになります。
ちょっとややこしくはなりますが、一度手にとってじっくりと見比べてみるとその違いがわかると思います。
Pingback: 機能性表示の届け出から販売開始までのスケジュール感 | chefplus(シェフプラス)食品表示の専門サイト