加工食品の原料原産地表示制度に係る食品表示基準の一部改正(案)についての説明会ではあまり中身までは触れませんでしたので、改めてこちらで解説します。

まだ、未確定ですので参考までにお願いいたします。

原料原産地表示の改正の目的

この改正の目的は、

原料原産地表示を商品選択に利用している消費者は多いことから、全ての加工食品を対象に、原料原産地表示を義務づけることは、消費者の利益に合致。
消費者庁説明

にあります。
兼ねてから、加工食品の原料原産地や製造された場所についての情報が欲しいという要望は多く、度々議論されてきました。
しかし、事業者への負担が大きいことがあり、根強い反対意見もあったようですが、今回の改正でこれを義務制度化する動きとなりました。

これまで、原料原産地表示が義務付けられていたのは、「その製品の品質が原料の産地によって大きく異なることが推定されるもの」で、例えば鮮魚・生肉をメインに加工した加工食品、農産物漬物などが義務付けられていました。
また、東京都では条例で調理冷凍食品にあっても原料原産地表示が義務付けられるなど、これまでも一部で消費者の求める産地情報を表示することとなっていました。

ここで、全ての加工食品を義務化することで、さらに消費者の選択に資する制度にしようというのが大きな目的ということでしょう。

 

原料原産地表示の対象となる原材料

今回の改正で原料原産地表示の対象となる原材料は、

  • 原則として製品に占める重量割合上位一位の原材料を義務表示の対象とする
  • 自主的に上位二位以下の原材料についても、原料原産地表示を行うことができる
  • 現行で義務化されている22食品群は50%未満の原材料であっても原料原産地表示を行う

となります。
すなわち、全ての加工食品のうち、一括表示の「原材料名」の欄で一番最初に表示される原材料の原産地を表示するということとなります。
たとえばパンの小麦粉などが該当します。
消費者にとっては、それによって判断基準がわかりやすくなることで、選択に資するということにつながります。
一方で、事業者にとってはこれはかなり大きな改正となってしまい、食品表示ラベル作成に関する負担が大きくなるうえに、文字数が増えることになり、レイアウトなどで頭を悩ませることになるでしょう。

 

新しい原料原産地表示の表示ルール

具体的には、これまで22食品群で使われていた原料原産地表示の表示ルール(ただし50%以下であっても表示)が基本となりそうです。
しかし、加工食品である以上第一位が複合原材料のこともありますし、原産国が3カ国以上の場合や、条件によって国別重量順の表示が難しい場合があります。
そこで、次のような段階で表示することと規定されそうです。

重量順第一位の原材料の原産地を表示
これまでの22食品群で行ってきた表示方法を適用。豚肉(アメリカ)や原料原産地の項目を作って表示など
対象となる原材料が加工食品(複合原材料)の場合
加工食品の製造地を原料原産地として表示する。イタリア産トマト缶詰が対象ならば、「トマト缶詰(イタリア)、○○」等
3カ国以上の原産地の場合
現行の表示ルール同様に、上位2カ国を表示し、3カ国目以降を「その他」と表示ができる
確定的に表示が難しい場合は、過去の実績や使用計画によって可能性表示又は大括りで表示できる
(例)原料原産地:アメリカ又はカナダ(豚肉) ※豚肉の産地は平成○年の使用実績順
(例)原料原産地:輸入(豚肉) (この表示方法は条件によって異なります)

このように、まだ確定ではありませんが、非常にややこしくなっています。
消費者庁的には法律の抜け穴をなくすために、様々な表示方法を認めることにしているようですが、説明会でもかなり紛糾してしまいました。
制度の義務化は食品表示法と同じ2020年4月に完全施行を目指すようです。

 

私個人の意見として

食品表示法施行によって素早く対応した事業者はすでにパッケージ印刷などに費用をかけているところが多くあると思います。
しかし、このように後出しをされてしまうと、せっかく積極的に新ルールを適用したのに、裏切られてしまったと考えてしまう事業者もいるのではないでしょうか。
消費者庁には慎重な判断と、救済措置などを考えていただきたいと思います。

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新しい原料原産地表示の改正ポイント(未確定です)
タイトル
新しい原料原産地表示の改正ポイント(未確定です)
記事の内容
新しい原料原産地表示の改正が予定されています。
筆者
記事の提供元
chefplus.net