さて、先日の記事「「林先生が驚く初耳学」出演か!?PLUコードと遺伝子組み換え」でも書きました、輸入果物などのPLUコードについての続報です。

長文ですので以下のようにまとめています。
1、PLUコードと遺伝子組換え作物について”現在は”情報が間違っているという根拠
2、なぜこのような事態になっているのか
3、遺伝子組換え作物の日本における流通とその食品表示

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【1、PLUコードと遺伝子組換え作物について”現在は”情報が間違っているという根拠】
みなさんが「PLUコード 輸入果物」で検索すると、おそらく「遺伝子組換え作物」の情報がよく出てくるのではないかと思います。
先頭に「8」がついた5桁の数字がついたものは「遺伝仕組換え」のものだから買わない方が良い!
そんな感じです。

しかし、この情報は”現在は”間違っていると前の記事で書きました。
なぜ”現在は”なのかというと、元々その情報は間違っておらず、8のついた5桁のものは遺伝子組換え作物であることを表すように制度が作られたからです。
しかし、このPLUコードを管理するIFPSが2015年7月のニュースリリースで、この制度をやめることを発表しました。
その理由は「使われなかったから」というもので、世の中には8のついた5桁の作物が存在しないことを表します。
http://www.ifpsglobal.com/Portals/22/IFPS%20Documents/IFPS.release.July2015.pdf
これによって、”現在は”間違った情報であることが裏付けられています。

【2、なぜこのような事態になっているのか】
では、PLUコードを管理する団体が約2年ほど前に発表しているにもかかわらず、”現在は”間違った情報が今頃になって拡散しているのかという問題です。
これは「農林水産省が示している資料が訂正(削除)されていないから」です。
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_conf/kanzikai/pdf/050525_siryou12_usa.pdf
こちらがその資料。
もちろん、公式(省令ではないという意味で)な文章ではなく、数年前に示した参考資料であることから訂正や削除をしなければならないということではありませんし、この時はまだ、遺伝子組換え作物の表示制度が実在していたから情報として間違いではありません。

しかし、一般の方々は今でも見られる国が出している資料だから間違いではない。と思い、この資料を根拠に「8がついた5桁の数字の輸入作物は危険だ!」という情報を拡散していきます。これを取り上げるメディアも同様です。
実際、私も番組に出演依頼を頂戴したとき同じように考えていましたし、番組制作陣も遺伝子組換え作物でコーナーを作りたいということでした。
番組コメント収録30分前にコーヒーを飲みながら色々調べていたところ、IFPSのホームページでこの情報を見つけ、ディレクターさんと相談して内容を変更していただきました。
番組としても私としても、「間違った情報」を提供するわけにはいかないと考えたからです。
このように、一つの情報を提供するのには様々な「情報の裏どり」が必要になります。
農林水産省には、参考資料としても訂正や削除などをしていただきたいと思いますね。

【3、遺伝子組換え作物の日本における流通とその食品表示】
まず日本では、遺伝子組換え作物は商用栽培されていませんが、多く輸入されています。
次に、現在のところ一般の小売店で生鮮の遺伝子組換え作物を購入できるのは、「ハワイ産パパイヤ(レインボー種)」のみです。

では、どこで活用されているのかといえば、飼料用と加工食品用に使用されています。
加工食品に遺伝子組換え作物が使用されているものは多くあり、表示が義務付けられているものと義務付けられていないものがあります。
例えば、豆腐に遺伝子組換え大豆を使用した場合は「遺伝子組換え」と表示が義務付けられています。
コーンフレークなど、組換えられたDNAや生じたタンパク質が最新の技術によっても検出が不可能であるものには義務付けられていません。

このように、もし遺伝子組換え作物を販売・使用しているのであれば、その表示は「数字で表示」されるのではなく、「日本語」で「明確に」表示がなされるように定められています。

著者 田添正治

このページについて
輸入果物等のPLUコードについて
タイトル
輸入果物等のPLUコードについて
記事の内容
テレビやインターネットで話題の輸入果物等のPLUコードについて、正確な情報を解説します。
筆者
記事の提供元
chefplus.net